
資産運用の世界では、「卵は一つのカゴに盛るな」という格言が有名です。
これは分散投資の本質を表した言葉。初心者にとって分散投資は「リスクを減らす魔法の方法」と思われがちですが、やり方を間違えると逆効果になることも。
本記事では、分散投資の基本と、初心者がやりがちな失敗パターンを徹底解説します。

分散投資とは?まずは基本から
分散投資とは、資産や投資先を複数に分けてリスクを下げる方法のことです。
- 資産クラスの分散
株式・債券・不動産・コモディティ(金や原油)などを組み合わせる - 地域の分散
日本株だけでなく、米国株・新興国株などに広げる - 時間の分散
ドルコスト平均法のように、一定額を定期的に投資する
分散投資のメリットは「どれか一つが下落しても全体のダメージが限定的になる」ことです。しかし、過度に分散しすぎると、リターンが薄まりすぎるというデメリットもあります。
初心者がやりがちな失敗パターン
1. 似たような商品に分散してしまう
例:日本株A社・B社・C社を買って「分散できた!」と思い込むケース。
→ 実際はすべて同じ日本市場に依存しているため、日経平均が下がれば全部下がります。
対策:業種・地域・通貨も意識して分散。
米国株ETF、先進国債券、REITなどを組み合わせると真の分散効果が得られます。
2. 商品数が多すぎて管理できなくなる
「リスクを減らすために」と言って10銘柄、20銘柄と買いすぎるケース。
結果、どれが上がったか下がったか分からず、リバランスもできない状態に。
対策:
初心者は全世界株インデックス+債券インデックスのようにシンプルな組み合わせからスタート。
リバランスも年1〜2回でOK。
3. リスクを分散しすぎてリターンがほぼゼロ
安全志向すぎて、債券・定期預金ばかりに偏るケース。
確かに損はしにくいですが、インフレに負けて実質的に資産が目減りする危険があります。
対策:
年齢やライフプランに応じて株式比率を決める(例:100−年齢=株式比率)
若いうちは株式比率を高めて成長の果実を取りに行きましょう。
4. タイミング投資にこだわりすぎる
「今は株価が高いから買わない」「暴落してから買う」と言って、いつまでも投資を始められない人が多いです。
対策:
ドルコスト平均法で毎月同額を投資する。
暴落時にも機械的に買えるので、平均購入価格が下がり、長期的に有利になります。
5. 流行りに飛びつく
仮想通貨ブーム、AI関連株、テーマ型ファンドなどに全力投資。
気づけば高値掴み、資産は半分に……という悲劇も。
対策:
コア資産(全世界株やS&P500)を7〜8割、サテライト(テーマ株や個別株)は2〜3割まで。
ギャンブル感覚の投資は“遊び金”で。
分散投資を成功させる3ステップ
- 目的を決める
「老後資金」「住宅購入」「子どもの教育費」などゴールを明確に。 - 資産配分を決める
株:債券=70:30、などシンプルな比率を決める。 - 自動化する
つみたてNISAやiDeCoで毎月自動積立 → 忘れて放置がベスト。
具体例:初心者向けおすすめポートフォリオ
資産クラス | 商品例 | 比率 |
---|---|---|
株式 | eMAXIS Slim 全世界株式 | 70% |
債券 | eMAXIS Slim 先進国債券 | 20% |
REIT | 日本REIT指数連動型ETF | 10% |
→ 年1回、70:20:10にリバランス。
まとめ:分散投資は「やりすぎない」のがコツ
- 分散しすぎるとリターンが薄まる
- 分散しなさすぎると一発退場のリスク
- シンプルな配分+長期積立+年1回リバランスが王道
初心者ほど、複雑に考えすぎず、まずは少額からスタート→継続→改善の流れを意識しましょう。