
はじめに
「医療保険って入ったほうがいいの?」「公的医療保険だけで十分じゃない?」──こうした疑問を持つ方は非常に多いです。
実際、日本は国民皆保険制度が整っており、一定の医療費は健康保険でカバーされます。
そのため「医療保険に入るべきかどうか」は人によって意見が分かれるテーマです。
本記事では、医療保険のメリット・デメリットを徹底解説しつつ、加入を検討するうえでのポイント、向いている人・向いていない人の特徴を詳しく紹介します。
最後まで読むことで、あなたが医療保険に加入すべきかどうかの判断材料が手に入るでしょう。

日本の医療制度の基本をおさらい
公的医療保険制度とは?
日本には「国民皆保険制度」があり、誰もが何らかの健康保険に加入しています。
会社員なら「社会保険」、自営業者なら「国民健康保険」に加入するのが一般的です。
これにより、医療費の**自己負担は3割(高齢者は1割または2割)**に抑えられています。
高額療養費制度
さらに、公的医療保険には「高額療養費制度」があります。
たとえば、100万円の医療費がかかっても、自己負担の上限(収入によるが約8~9万円程度)を超えた分は払い戻される仕組みです。
この制度があるため「医療保険は不要」と考える人も一定数存在します。
医療保険に入るメリット
1. 入院・手術費用の自己負担を軽減できる
高額療養費制度があるとはいえ、入院すれば食事代や差額ベッド代、先進医療費などは対象外です。
医療保険に加入していれば、入院給付金(日額5,000円など)や手術給付金が支給されるため、経済的な不安を軽減できます。
2. 働けない間の収入減少を補える
フリーランスや自営業者は、病気やケガで働けなくなると収入がゼロになるリスクがあります。
医療保険からの給付金は、生活費の補填にも役立ちます。特に「就業不能保障特約」付きの保険なら、長期療養時も安心です。
3. 先進医療の費用をカバーできる
がん治療などで注目される「重粒子線治療」などの先進医療は、公的保険が効かず数百万円かかるケースもあります。
医療保険の中には先進医療特約が付けられるものもあり、こうした高額治療費をカバー可能です。
4. 精神的な安心感を得られる
「もし大病になっても、経済的に備えがある」という安心感は、精神的なゆとりにつながります。
特に家族がいる人にとって、医療保険は“お守り”のような役割を果たします。
5. 家計管理がしやすくなる
定額の保険料を払うことで「医療費に備えた積立」をしているのと同じ効果があります。
貯金が苦手な人にとっては、医療保険に加入することで強制的に備えられるメリットがあります。
医療保険のデメリット
1. 保険料の負担が続く
医療保険は長期契約が前提です。
月々数千円でも、20年30年と払えば数百万円の負担になります。
「実際に給付を受けなかった」という人も多く、結果的に損をする可能性があります。
2. 公的制度でカバーできる部分が多い
前述の高額療養費制度や傷病手当金(会社員向け)があるため、医療保険に入らなくてもある程度は安心できます。
特に独身や高収入層は「公的保障+貯蓄」で十分な場合もあります。
3. 解約返戻金が少ない
終身医療保険の場合、途中で解約すると返戻金が少なく「払い損」になりやすいです。
掛け捨て型の場合はなおさら、給付を受けなければ完全に「掛け捨て」になります。
4. 保険加入に制限がある
既往症がある人や高齢になってから加入しようとすると、保険料が高額になったり、そもそも加入できないことがあります。
若いうちに加入するのが有利ですが、その時点で本当に必要かは慎重に判断すべきです。
5. 医療技術の進歩で不要になる可能性も
日帰り手術や短期入院が増えており、長期入院給付を前提とした医療保険は「使いにくい」ケースも増えています。
医療保険が向いている人
- 貯金が少なく、突然の医療費に対応できない人
- フリーランス・自営業など、収入が不安定な人
- 家族(特に子ども)がいて、安心を優先したい人
- 先進医療を受ける可能性に備えたい人
- 貯蓄が苦手で、強制的に備えを作りたい人
医療保険が向いていない人
- 十分な貯金があり、数百万円の出費にも対応できる人
- 独身で扶養家族がいない人
- 会社員で「傷病手当金」が使える人
- 保険料の支払いよりも「資産運用」に回したい人
- 医療費は公的制度で十分と割り切れる人
医療保険の選び方のポイント
1. 入院日額はいくら必要か?
一般的に入院給付金は日額5,000円程度が目安です。
ただし、ライフスタイルによっては1万円に設定する人もいます。
2. 保障期間は「終身型」か「定期型」か?
- 終身型:一生涯保障されるが保険料が高め
- 定期型:一定期間だけ保障されるが保険料が安い
長期的な安心感を取るか、コストを抑えるかで選び方が変わります。
3. 特約は本当に必要か?
がん特約・先進医療特約など、特約を付けすぎると保険料が膨らみます。
「本当に必要な保障だけ」を厳選しましょう。
4. 保険会社の信頼性
給付金の支払い実績や顧客対応なども重要です。口コミや評判を確認しましょう。
医療保険と貯金・投資のバランス
医療保険に加入するかどうかは、「貯金」と「投資」とのバランスで考える必要があります。
もし数百万円の貯蓄があるなら、保険に入らずそのお金を医療費用に充てる選択肢も現実的です。
一方、貯蓄が少なくリスクに備えたい人は、医療保険を活用する価値があります。
まとめ
医療保険は「安心をお金で買う」商品です。
メリットとしては、医療費の自己負担を軽減し、精神的な安心を得られる点。
デメリットとしては、長期的な保険料負担や「払い損」になるリスクがある点です。
結論としては、
- 貯金が十分でリスク許容度が高い人は不要
- 貯金が少なく家族の安心を優先したい人には有用
となります。
医療保険は「万人に必須」ではありません。
あなた自身のライフスタイル・家計状況・価値観に合わせて、慎重に検討してみてください。