
「センチュリーのシートって、本革じゃないの?」
そう思った人もいるかもしれません。高級車と聞くと、つやのある革張りシートを想像しますよね。
ところが、センチュリーのセダンにはウールを使ったファブリック仕様が用意されています。本革も選べますが、そちらはメーカーオプションです。
車両のメーカー希望小売価格が税込2,300万円のモデルに、布のシート。意外に感じるこの組み合わせから、高級車の見方が少し変わるかもしれません。
※この記事はセンチュリーのセダンについて解説します。別のボディタイプとは仕様を分けてご覧ください。
センチュリーの布は、ウールで織り上げたシート表皮
トヨタの公式サイトでは、ウールで織り上げたジャカードモケットのファブリック仕様と、本革仕様の2タイプが案内されています。
ここで大切なのは、「布」という言葉だけで素材の質を決めないことです。
同じ布張りでも、素材や織り方、肌に触れたときの感触は違います。センチュリーのシートも、単に革を使わなかったものとして見るより、ウールという素材を選んだ仕様として見るほうが理解しやすいですね。
2017年の新型初公開時の公式発表でも、ファブリックには伸縮性と柔らかな触感を持つ100%ウールを採用すると説明されていました。
ただし、当時の発表内容と現在の細かな仕様は区別して確認する必要があります。
主役は「運転する楽しさ」だけでなく、後席で過ごす時間
センチュリーのセダンを理解する手がかりは、ショーファーカーという設計思想にあります。
ショーファーカーとは、運転手が運転し、主に後席の乗員をもてなす使い方を想定した車です。トヨタも公式サイトで、後席を最優先にした設計思想を説明しています。
自分で運転するスポーツカーなら、ハンドルを握ったときの感覚や体を支えるシートが気になるでしょう。
一方、後席で移動する車では、座っている間の心地よさや、くつろげる姿勢をつくれるかも大切になります。
この違いを踏まえると、シートの評価を「革か布か」だけで済ませにくいことが分かります。
ウールの設定は、豪華さを素材の名前だけで判断できない例といえそうです。
座り心地は、表面の素材だけでは決まらない
公式の室内説明では、シートのクッションにコイルばねを採用し、姿勢の保持や路面から伝わる振動にも配慮した構造が紹介されています。
つまり、見える部分の表皮だけでなく、その下のつくりにも目を向けたいということです。
写真では高級そうに見えても、自分の体に合うかは別の話。反対に、写真では控えめに見えるシートでも、座ってみると印象が変わるかもしれません。
これはセンチュリーに限らず、普段の車選びにも通じます。
試乗では運転席だけでなく、家族が座る後席も確認してみてください。背もたれの角度や座面の支え方など、カタログの素材名では分からない部分が見えてきます。
本革も選べる。ウールがすべての人に優れているという話ではない
センチュリーには、本革仕様「極美革」もメーカーオプションで用意されています。
また、公式案内では本革仕様とシートベンチレーションがセットのメーカーオプションとなっています。
ここは「素材だけを交換する」と考えず、組み合わされる機能も含めて確認したいところです。
革の見た目や感触が好きな人もいれば、ウールの風合いに魅力を感じる人もいるでしょう。どちらが自分に合うかは、使い方や好みによって変わります。
「布だから下」「革だから正解」と決めず、実際の仕様と座り心地を見比べることが大切です。
静かな車内も、ウールだけで生まれるわけではない
センチュリーといえば、静かな移動空間も特徴です。
ただし、「静かなのはウールのシートだから」と、一つの理由だけで説明するのは避けたいところです。
トヨタは、吸音・遮音材の配置や風切り音対策、手作業による音止め、アクティブノイズコントロールなど、さまざまな対策を紹介しています。
シートの素材、クッション、車体、サスペンション、音への対策。それぞれを組み合わせて乗員の過ごす空間をつくっている、と捉えると分かりやすいですね。
なお、今回確認した公式資料だけでは、「革の衣擦れ音を避けることがウール採用の理由」とまでは断定できません。
中古車を見るときも「本革付き」だけで判断しない
中古の高級車を探していると、「本革シート」という表示が目に留まりやすいですよね。
しかし、センチュリーのようにウールの仕様にも明確な位置づけがある車では、革がないことをそのまま装備不足と考えるのは早計です。
確認したいのは、その年式にどんな仕様があり、目の前の車がどの仕様なのか。そして、シートや後席の機能がどのような状態にあるかです。
現在の新車の装備説明を、古い年式の中古車へそのまま当てはめないことも大切です。
センチュリーのウールシートは、「高級車なら本革」という思い込みを見直すきっかけになります。車の価値を知るには、素材の名前に加えて、誰がどこに座り、どう過ごすためにつくられたのかまで見てみたいですね。
参考にした公式情報
確認日:2026年11月3日。価格はメーカー希望小売価格であり、オプションや諸費用を含む支払総額とは異なります。仕様は年式や変更時期により異なります。










