RX-8はなぜ4ドア?スポーツカーなのに「後ろにも乗れる」仕組みが面白い

マツダのRX-8を見て、「これって2ドアのスポーツカーじゃないの?」と思ったことはありませんか。

低いボディに、すっきりした横顔。ところが、この車には後ろのドアもあります。しかも、普通のセダンとは開き方が違うんです。

RX-8は、運転の楽しさと、大切な人を乗せられる実用性の両立を目指した4ドア・4人乗りのスポーツカーでした。

今回は、その特徴的なドアの仕組みと、中古車を見るときに確かめたい使い勝手を解説します。

RX-8が4ドアになった理由は「誰かと乗る楽しさ」

スポーツカーに憧れても、「家族や友人も乗せたい」と考えると、2人乗りでは悩みますよね。

RX-8は、そんな悩みに向き合った車です。

マツダは2003年4月9日の発表で、スポーツカーらしい走りや外観と、大人4人が乗れる機能性の両立を打ち出しました。家族や友人のためにスポーツカーを諦めていた人も、開発で意識していたことが分かります。

つまり、RX-8の後席は、この車の狙いを理解するうえで欠かせない存在なんです。

ただし、4人乗りという数字と、自分たちが快適に使えるかどうかは別の話。座る人の体格や移動時間によって、評価は変わります。

出典:マツダ「4ドア・4シーターのスポーツカー『Mazda RX-8』を発表」

後ろのドアは「観音開き」。横顔がすっきり見えるのにも理由がある

RX-8は、前後のドアが向かい合うように開く「フリースタイルドア」を採用しています。いわゆる観音開きの仕組みです。

前のドアは前側、後ろのドアは後ろ側を軸にして開きます。さらに、開口部の中央に固定されたセンターピラーがない構造です。

この仕組みによって、スポーツカーらしい外観と、後席への乗り降りのしやすさを両立させようとしました。

閉じた姿だけを見るのと、前後のドアを開けた姿を見るのとでは、印象が変わりますよね。RX-8の面白さが分かりやすく表れる部分です。

なお、中央の柱がないからといって、補強までないわけではありません。マツダの技術資料では、後ろのドアに補強構造を組み込むなど、強度を確保するための工夫が説明されています。

出典:マツダ技報「フリースタイルドアの技術的要点」(PDF)

ただし、後ろのドアだけを開けることはできません

ここは、購入前に知っておきたいポイントです。

RX-8の後ろのドアは、前のドアが閉まった状態では開けられません。取扱説明書に示された開閉の順序は、次のとおりです。

● 開けるときは、前のドアを開けてから後ろのドアを開ける。

● 閉めるときは、後ろのドアを閉めてから前のドアを閉める。

普通の4ドア車のように、後席の人だけが独立してドアを開閉する使い方とは違います。

また、取扱説明書には、後ろのドアを開ける前にフロントシートベルトを外していることを確認するよう記載されています。前席の人との連携も必要なんです。

後ろのドアを操作している最中に前のドアを閉めると、けがにつながるおそれがあります。実車では、販売店に操作方法を説明してもらいましょう。

出典:マツダ「RX-8取扱書・ドアの開閉」

狭い駐車場では、ドアと「人が立つ場所」まで確認したい

広い場所でドアを開けると、後席への出入りはイメージしやすいものです。でも、自宅の駐車場では隣に車があるかもしれません。

そこで確かめたいのは、ドアが開くかどうかに加えて、人がどこに立ち、どの順番で乗り降りするかです。

購入を考えるなら、販売店で次の動きを試してみてください。

● 前席に座った状態から、後席の人が降りるまでの流れ。

● ドアを大きく開けられない状況を想定した出入り。

● 後席へ荷物を置き、取り出す動作。

● 普段一緒に乗る人が、無理なく座れるかどうか。

もちろん、ドアを隣の車や壁に近づけて試す必要はありません。安全な場所で動きを確かめ、自宅の環境に当てはめて考えましょう。

この確認だけでも、「面白い仕組み」で終わらず、自分の生活に合うかどうかが見えてきます。

ロータリーエンジンも、4人乗りを成立させる工夫につながっている

RX-8といえば、ロータリーエンジンを思い浮かべる方も多いでしょう。

搭載されたのは、自然吸気の「RENESIS(レネシス)」。マツダは、小型のエンジンを生かした配置によって、走りと車内空間の両立を図りました。

エンジンとドアは、一見すると別々の特徴に思えますよね。ところがRX-8では、どちらも「スポーツカーらしく、それでいて4人が乗れる車」を作るための工夫につながっています。

RX-8を眺めるときは、ロータリーという言葉に加えて、その周りにどう人を座らせたのかにも注目すると面白いですよ。

出典:マツダ「RX-8発表時の商品概要」

中古車では「4人乗れる」だけで購入を決めない

マツダの車種年表では、RX-8は2012年6月に生産を終了しています。

現在、中古車を検討する際は、ドアの面白さや後席の存在に加えて、その車両の状態を確認することが大切です。

販売店には、整備記録、過去の修理内容、保証の対象、購入後の整備相談先を聞いておきましょう。ロータリーエンジンの点検・整備に対応できるかも確認したいところです。

年式やグレードによる装備の違いもあるため、取扱説明書は検討する車両に合ったものを確認してください。

「4人乗りだから家族用にも問題ない」と決めつけず、実際に使う人が座り、乗り降りまで試す。それが、購入後のイメージ違いを減らす近道です。

出典:マツダ「RX-8 車種年表」/マツダ「RX-8 マニュアル・取扱説明書」

RX-8の4ドアには、スポーツカーを楽しむ人を広げる狙いがあった

RX-8は、ひとりで走りを楽しむ時間と、家族や友人を乗せる時間を、一台でかなえようとしたスポーツカーです。

そのための工夫が、ロータリーエンジンの配置であり、特徴的な観音開きのドアでした。

後席への出入りには操作の順番があるため、普通の4ドア車と同じ感覚では使えません。それでも、「スポーツカーが欲しいけれど、誰かを乗せることも諦めたくない」という発想には、今見ても惹かれるものがありますよね。

街でRX-8を見かけたら、すっきりした横顔の中に隠れた、もう一組のドアにも注目してみてください。

Twitterでフォローしよう

おすすめの記事