「SUVに乗っているから、少しくらいの雪なら大丈夫」「4WDならスタッドレスタイヤは必要ないのでは?」

冬のドライブを前に、こう考えていませんか。

4WDには雪道で発進しやすい、坂道を上りやすいという強みがあります。しかし、その強みが、そのまま止まりやすさにつながるわけではありません。

雪道の準備では、車の駆動方式とタイヤを分けて考えることが大切です。今回は、4WDやSUVで見落としやすい冬の備えを整理します。

4WDが得意なのは発進や上り坂。ブレーキは別に考える

4WDは、四輪に駆動力を伝える仕組みです。滑りやすい道で車を前に進める場面に強みがあります。

一方、ブレーキをかけたときの止まりやすさは、タイヤや路面、速度、車両重量などにも左右されます。「四輪で駆動するから、制動距離も短い」とは言えません。

JAFが2018年2月14日に実施した圧雪路の比較テストでは、全車に新品のスタッドレスタイヤを装着。勾配20%の上り坂は4WDの2台が上りきり、前輪駆動の2WDの2台は途中でスリップしました。一方、平坦路で時速40kmから急ブレーキをかけた際の制動距離は、4台とも20~22mで、大きな差はありませんでした。

ただし、これは異なる車種による比較です。すべての4WDと2WDの性能差を示す数値ではなく、自分の車が同じ距離で止まれるという意味でもありません。

発進できたことを、十分な速度で走っても安全だという判断につなげないことが重要です。

出典:JAF「4WDなら雪道でも安心?2WDと登坂・ブレーキ性能を比較」

SUVという見た目だけでは雪道への備えは分からない

SUVは車のタイプを表す言葉で、4WDという意味ではありません。購入時は車名だけで判断せず、その車両の駆動方式を確認しましょう。

同じように、タイヤの見た目だけで冬道への適性を決めるのも避けたいところです。

「大きなタイヤだから」「力強い外観だから」という印象より、装着しているタイヤが積雪・凍結路に対応しているかを確認する方が大切です。中古車を購入した場合も、付いてきたタイヤの種類を確かめておきましょう。

冬タイヤは前輪だけ、後輪だけに装着しない

冬タイヤに交換するなら、四輪すべてに装着することが基本です。

日本自動車工業会も、積雪・凍結路に備えて、冬用タイヤを全車輪に装着するよう呼びかけています。4WDであっても、この準備を省く理由にはなりません。

すでに冬タイヤを持っている場合は、交換予約の際に、残り溝やひび割れなどの状態も確認してもらうとよいでしょう。「去年使えたから今年も大丈夫」と決めつけず、今の状態で使用できるかを確かめてください。

出典:日本自動車工業会「積雪路・凍結路でノーマルタイヤはNG! 必ず冬用タイヤを」

スタッドレス+4WDでも、チェーンが必要になる場合がある

もう一つ覚えておきたいのが、大雪時のチェーン規制です。

国土交通省が案内するチェーン規制では、スタッドレスタイヤを装着した車や4WDも、タイヤチェーンを装着していなければ規制区間を通れません。

ここでいうのは、チェーンの装着を求める規制です。冬用タイヤを装着していれば通行できる規制と混同せず、道路管理者が出す規制内容を確認しましょう。

チェーンを購入する際は、タイヤサイズだけでなく、車両への適合や装着位置も確認が必要です。4WDだから前後どちらでもよいとは判断せず、車の取扱説明書とチェーンメーカーの案内に従ってください。

また、チェーンを持っているだけでは装着済みにはなりません。出発前に取り付け方を確認しておくと、現地で慌てにくくなります。

出典:国土交通省「チェーン規制について」

2WDと4WDを選ぶなら「普段走る場所」を基準にする

これから車を買う人は、雪道を走る頻度や、自宅周辺の坂道を具体的に考えてみましょう。

例えば、積雪時にも坂のある道を日常的に使う人と、年に一度だけ雪のある地域へ出かける人では、必要な備えや車選びの優先順位が変わります。

検討するときは、次の点を書き出すと整理しやすくなります。

● 冬も車で通勤や送迎をする必要があるか

● 自宅や目的地の周辺に急な坂があるか

● 大雪の日に予定や移動手段を変更できるか

● 冬タイヤ、交換作業、保管場所まで準備できるか

4WDの購入費用だけに注目せず、冬の装備を含めて予算を組むのがおすすめです。駆動方式を選ぶことと、冬道に備えることは、両方必要な検討です。

よくある疑問

4WDなら夏タイヤのまま雪道を走れますか?

4WDを理由に夏タイヤでの雪道走行を判断するのは危険です。積雪・凍結が予想される場合は、路面に対応した冬の装備を準備してください。日本自動車工業会も、夏タイヤでの積雪・凍結路走行に注意を呼びかけています。

2WDでもスタッドレスタイヤがあれば大丈夫ですか?

スタッドレスタイヤを装着しても、どんな道でも走れるわけではありません。積雪の深さ、坂の勾配、凍結状態などを確認し、走行が難しい場合は移動の延期や別の交通手段を検討しましょう。

雪が少ない地域でも準備は必要ですか?

自宅周辺だけでなく、通過する道路と目的地、帰る時間帯まで含めて考えましょう。普段は雪が少なくても、冬に山間部へ出かける予定があるなら、そのルートに合った装備を準備する必要があります。

まとめ:4WDの強みを生かすためにも冬の装備を

4WDは、雪道の発進や上り坂で頼りになる仕組みです。ただし、走り出しやすさだけで、止まりやすさまで判断することはできません。

SUVや4WDでも、タイヤの確認、必要に応じたチェーンの準備、天候・道路情報の確認を進めておきましょう。

冬の車選びでは「4WDかどうか」に加えて、「その車で、どの道を、どんな装備で走るのか」まで考えることが大切です。

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